2012年2月16日木曜日

近江八幡市と名張市を視察

坂井市では、公民館の施設管理や運営について


まちづくり協議会への委託を計画しています。

その発想のきっかけは、
平成12年4月に「地方分権一括法」が施行されたことに始まります。
この法律の趣旨を大まかに言えば、地方のことは地方で知恵を出してということ。

もっと踏み込めば、

地域のことは地域に住む人たちの知恵をもって発展推進するということになります。
そこで、全国の各自治体が、「まちづくり基本条例」の制定に取り組みました。

市民、市長、議員などが市政を動かすにあたってのそれぞれの役割を規定し明確にしたのです。

坂井市でも、さる12月定例会で可決し、来る4月から施行になります。

となると、次は、条例に基づき、アクションプラン(行動計画)をどう具体化するのか。
すでに「まちづくり条例」を施行している地方自治体で行われている具体例が
「まちづくり協議会」の活発化を支援するために、
地域の生涯学習の拠点である公民館自体をまちづくり協議会にすべて任せましょう
ということです。

坂井市も先進の成功例にならって、

公民館の施設管理や運営をまちづくり協議会に任せられないものかと模索している段階です。

くれぐれも言いますが、まだそうすると決まっているわけではありません。

調査研究している段階です。
我が会派「新政会」でも、市民と行政のパイプ役として

この問題は慎重に審議する必要がありますから、

じっくりと研究を重ねています。


1月31日と2月1日の両日にわたって

先進自治体である近江八幡市と名張市を訪問し調査をしてきました。

近江八幡市は、平成22年3月に安土町と合併、人口は約8万2千人。


近年、八幡堀の再生事業や街並み整備によって

平成15年に、227万4千人だった観光客の入込数が

平成19年には、371万7千人と右肩上がりで増加しています
近江八幡市は、旧市時代から、

昭和の合併時の町村単位である8学区および沖島に公民館を設置し、

社会教育を推進するとともに、地域のコミュニティ活動を活発に取り組んでいました。
その地域の連帯を背景として、思い切って実施したのが

平成22年3月の学区公民館を学区コミュニティセンターに移行するものでした。

つまりは、公民館という施設はなくなりました。

が、施設の管理は、市が非常勤嘱託のセンター長とセンター常勤職員を配置して行います。
施設の運営は「学区まちづくり協議会」が委託契約を結んで、

まちづくり支援交付金制度によって、

地域住民の自由な発想で、地域自治を推進しています。

ただし公民館がこれまで行ってきた生涯学習活動は、

委託業務の中に明記され継続されています。
また、まちづくり協議会の組織は、区域内のすべての自治区が加わって、

自治区長の意見は反映されるようになっています。

坂井市では大小23の地域づくり協議会があり、

その中には町内会がかかわっていないところもあります。

そもそも、まちづくり協議会の運営の経験値が近江八幡市とは違いすぎます。


こうした説明の中で、
移行にあたって、様々なレクチャーが必要となったでしょうが

主にどのような内容の研修・講習を行ったのか?

質問しましたら、

回答は、事務機能の強化だそうです。

多額の交付金を、有効、無駄なく、適正に活用するには

正確な事務処理ができてこそですから。

それと、それぞれの学区で思いつきで事業を行うのではなく、

中期的な計画を立てて、方向性を表明して、

なるべく計画に沿った事業を実施していくことが肝心なのだそうです。
地域の人たちと行政側との信頼関係が
きちんと出来上がっているのがうらやましく想いながら、

つぎの調査地、名張市へ向かいました。

名張市は、案外に北陸からは遠いですね。

近江八幡から、3時間以上かかりました。
北陸からはなかなか出かけられるところではありません。


さて、この名張市は人口が約8万人。





昭和29年に周辺の市町村が合併して市制となった時には人口約3万1千人。

昭和38年に始まった桔梗が丘開発以来、
大阪から電車で約1時間強ということからベッドタウンとして人口が急増したそうです。

その名張市ですが、平成14年に現市長が就任してから、

財政改革の一環として、既成の補助金制度を廃止するかわりに、

地域の人が自分たちで考えて予算を使ってまちづくりを行う
「名張市ゆめづくり地域交付金制度」を設けて、

平成15年から市内を14地区に分けて「まちづくり協議会」を立ち上げました。

当初、区長会とまちづくり協議会がぎくしゃくしたり、

区長会と新興住宅地や団地の自治会とのぎくしゃくがあったそうです。

しかし、市長が市民を信じたいという熱意をもって推進し、

ついには平成21年に「地域づくり組織条例」を設けて、公務としての区長制度を廃止。

そして、公民館を指定管理者制度としてまちづくり協議会にゆだねました。

近江八幡市は公民館という名称を捨ててコミュニティセンターとし、
指定管理者制度じゃなく運営委託にしたのに対して、
名張市は、公民館という生涯学習にこだわりをもったのです。

今回、二つの先進市の取り組みを視察学習して感じたことは、

どちらも、大胆な組織改革に踏み出しているものの、

市民とのコミュニケーションがうまくいっているということです。

その背景にはまちづくり協議会の運営に歴史と経験があればこそ。

そうとう市民との距離を縮めてから改革に着手しているからでしょう。


我が坂井市は、まだまだまちづくり協議会の運営経験が浅く、

地域の温度差がありすぎます。
基本的に、旧4町の自治区の在り方を均等化する必要があります。

そのためにはまちづくり協議会の組織運営の在り方を共通理解する意識の共有が不可欠かと。
まちづくり協議会制度に対する理解と協力の温度差を

解消しなければ前進はないように感じました。