2010年12月21日火曜日

京都周辺にて行政研修

滋賀県草津市が行なっているファミリーサポートセンター事業と


大阪府茨木市の小学校敷地併設図書館の研修に出かけてきました。

11月30日は先ず、草津市役所を訪問し担当課の説明を受けました。



 ファミリーサポートセンターとは何ぞや?

育児の援助を受けたい人と育児を援助したい人が会員となって

地域において子育ての相互援助活動を行なうシステムです。

援助の内容は、

・ 保育園幼稚園などの送り迎え

・ 保育園幼稚園の登園前、降園後の子ども預かり

・ 小学校、学童保育終了後の子どもの預かり

・ 軽度の病気時や保育施設の休日などの場合の子どもの預かり

・ 冠婚葬祭、学校行事などの際のこどもの預かり
・ 保護者の病気や通院など急用時の子どもの預かり

などなど、子育てにおいて、人手を借りたいときに

このシステムに登録している依頼会員は、

やはりこのシステムに登録している提供会員に有料で依頼するのです。

依頼料金は平日で1時間700円。

原則として提供会員の自宅で預かり、宿泊は出来ません。


【活動の流れ】

依頼会員が援助が必要なときにセンターへ連絡します。

センターに控えるアドバイザーは提供会員に連絡を取り

都合の良い提供会員を依頼会員へ紹介します。

依頼会員は提供会員へ連絡を取り、事前の打ち合わせをし、相互の合意が出来たら

援助活動が可能となります。

援助活動が修了したら、提供会員は活動報告書を作成して、依頼会員の確認印を貰います。

依頼会員は規定の報酬及び交通費などの実費を提供会員に支払います。

草津市では平成17年10月に開設して5年を過ぎました。

運営受託は「NPO法人子どもネットワークセンター天気村」

現在、アドバイザー2名(この人件費と施設管理費を草津市が委託)がセンターに常駐し、

依頼会員は510名、提供会員は140名、両方会員は37名。

ちょうどセンターの人が、市役所の横にある子育て施設で

ファミリーサポートセンター事業の普及活動をしているところだったので、見学しました。

3ヶ月以上から小学校の高学年まで幅広く援助活動をするシステムは、

少子化時代を打開するための施策として一考する価値はあります。





ちょうど、市役所に隣接する施設で

ファミリー・サポートセンターのスタッフが啓発活動をしているところだったので、見学できました。


かつて、上出議員の友人が定年退職後に、

ボランティアのつもりで個人的に同じことを始めたことがありましたが、

依頼した人がその人を雇っている意識になって、

その友人のボランティアの意識とのずれが生まれて、

結局挫折した事例もあります。

その当たりをクリアすれば、坂井市でも検討すべきシステムかと思います。




12月1日の午前中は茨木市の庄栄図書館を訪問しました。

坂井市でも坂井中学校の改修計画の一部を変更して

坂井中学校の敷地内に一般市民を対象とする図書館の併設を予定しています。

この写真の右側に庄栄小学校があり、2階部分で小学校と図書館が連絡しています。



館長さんから説明を受けました。

当初やはり、一般市民と小学校との危機管理についての危惧もありましたが、

施錠の管理をしっかりすれば、懸念はいらないそうです。

この図書館は1階が大人向けの開架図書室、

2階が子供向けの開架図書室。


小学生は決められた時間だけ連絡通路の扉が開かれて

2階の子ども用開架図書室しか利用できません。




坂井市の場合の図面を見せてもらったことがありますが、

やはり、実践している現場での研修によって、いろいろなことが理解できました。

良い研修になりました。

学生合宿誘致事業調査

10月20日、
学生合宿支援事業について上出議員と古屋議員が越前市観光振興課へ調査。


まちなか観光推進室長から
宿泊観光客増加促進事業・学生合宿誘致推進事業・
まちなか観光バス誘客促進事業の説明を受けました。

補正予算を付けるぐらい予定を上回る事業となっていました。
聞くところによると嶺北では坂井市・永平寺・池田町・南越前町だけが事業展開しておらず
坂井市は後れを取っています。

県の助成があるということで、福井県・観光振興課へも調査に出向き、
担当者の説明を受けました。
 
想定以上に好調な実績をあげたので、本年度は1千万から3千万に補正。
平成23年度も実施予定と確認。
 
坂井市での制度導入を提案したいと考えます。

金沢市の景観研修

10月19日、金沢市の景観行政の講座に参加しました。


日本各地から金沢市に学ぼうと、まちづくりに燃える人たちが集まってきていました。



市役所で、担当者からレクチャーを受けてみますと、

加賀百万石の城下町に対するこだわりが半端じゃないことが分かりました。

金沢市の景観行政の始まりは、昭和41年に国が定めた「古都保存法」に始まるそうです。

この法律で、古都として認知されたのは、京都、奈良、鎌倉の3箇所のみ。

これに発奮したのが金沢市。その3箇所以外は古都じゃないのか!!ということです。

以後、

昭和43年に金沢市独自で「金沢市伝統環境保存条例」制定に始まり、

昭和52年「金沢市伝統的建造物群保存地区保存条例」

平成元年「金沢市景観条例」

平成6年「こまちなみ条例」

平成7年「屋外広告条例」

平成8年「用水保全条例」

平成9年「斜面緑地保全条例」

平成14年「寺社風景保全条例」

平成15年「景観条例」の改正

平成17年「沿道景観形成条例」「夜間景観形成条例」

平成21年「新景観条例」


景観と環境、生活空間や商業活動との折り合いに議論を発展させて

次々と積極的な文化行政を進めました。

まあ、金沢市の職員の人たちは大変だったろうと思いますねえ。

そのアイデンティテイへのこだわりと熱意には、講座への参加者一同、唸るばかりです。


そのあとに長町とひがしの茶屋街への現地視察に向かいました。

 

この写真に写っている用水。以前はこの上に蓋が架かっていて、

商用車、自家用車の駐車スペースになっていたそうで。

お商売の利害や生活の便利などを考えると、景観整備とはいえ

個々人の抵抗もあったろうにと推察しますが、

そんな壁を乗り越えて、城下町らしい景観を創出してしまった金沢市の行勢力はすごいもんです。














 
電柱はとっぱらって、地中化したことで、すっきりとした景観を生み出しています。

三国もこうして欲しいのです。

昔から土木行政は“コストが高い”の一声で議論に応じてくれません。

100年の計をもってすれば、可能かと思いますが。


街角の方向指示のデザインは、市内のどこも統一されています。



お茶するところもところどころにあります。
長町に続いて、ひがしの茶屋街へ行くとボランティアガイドの人が待ち受けてくれていました。



ひがしの茶屋街をガイド付きで散策するのは初めての経験でしたが、

ガイドさんならではの説明が聞けて、ひがしの茶屋街の新ネタが仕込めました。

無料で案内してくれるそうですから、皆さんもご利用されてはどうでしょうか。


金沢には学ぶところばかりですね。大変勉強になりました。

市内行政視察

9月28日、「新政会」の議員10名で、
坂井市内の懸案箇所を廻って、現地視察を行ないました。



三国の梶漁港で、舟揚場を荷揚げ場に改修する工事の説明を受けました。



手前のような斜面を、議員が立っているところのような岸壁にするのです。



雄島橋の改修工事の進捗を視察。H22年度分は終わってました。
H24年度まで3年かかっての工事です。



三国神社前の旧木村邸。

等価交換で坂井市の所有となりましたので、一応の説明を受けました。
今後のことについては市民の意見を聴いて検討するそうです。



嶺北縦貫線のアミの前から国道8号線に通じる
隋応寺末政線の亀ケ久保交差点。

交差点の一帯だけ拡幅するそうです。


隋応寺末政線の8号線合流地点。ここも道路拡幅です。


坂井保育所。昭和47年と昭和49年の建築。



老朽化の激しさに驚きました。

これは補修というよりも建て替えた方がいいとの意見で一致しました。


この他に、

三国南保育所の移設先、坂井図書館、丸岡城下の公園整備計画地なども視察しました。

詳細は省きます。




2010年9月7日火曜日

「瀬戸内国際芸術祭」を視察(高松市と女木島)―最終回


9月19日(木)の早朝、折角、高松市に来たのですからと
栗林公園の見学に出かけました。

栗林公園の周回道路は自転車が通る部分と歩行者が通る部分がセパレーツ。
通勤する自転車が物凄いスピードで走り抜けても、歩行者は安心です。

安心と安全に心がけている街なんですね。


 


松の木を生垣にしているなんて、すごい剪定技術です。
広い公園の中をぐるりと回遊してみると、

とにかく、松、松、松、と松づくし。

これだけ松にこだわった庭園は栗林公園だけですね。感動しました。

高松市が盆栽の街を標榜しているそうですが、納得です。


さて、いよいよ今回の視察の仕上げ。

午前9時30分から午前11時30分までの2時間、高松市役所において、
最初に議会事務局総務調査課 調査係長 谷本 新吾 氏から
高松市の現況について、説明を受けました。

高松市は人口が417、726人(H22.4.1現在)。
平成17年と平成18年の合併によって、約33万人から約9万人増。
産業構成では、第3次産業が75.8%をしめています。
これは四国の玄関口であり、物資の中継地であることが要因で
都市形態としては、商業観光都市だそうです。
一般会計は平成22年度当初予算額が1428億1千万円。
自主財源として、市税 約616億円。
依存財源として、地方交付税 約195億円、国庫と県支出金 約308億円。

議員数は合併によって51人。(議員定数は40人。)
自民党19人、公明党6人、日本共産党4人、民主党2人、社民党1人、無所属19人
政務調査費は月に10万円。旅費の費用弁償費も出ます。

続いて、主目的である「瀬戸内国際芸術祭」担当者からヒヤリングを行ないました。

説明したのは高松市 市民政策部 国際文化・スポーツ局
国際文化振興課 課長 山下 光 氏です。

質問のポイントと回答

①「瀬戸内国際芸術祭を受け入れた行政的な背景と現実

基本的に香川県の主導で平成20年4月に同芸術祭実行員会が設立された。

里海の島々は少子高齢化の波をもろに受けて、限界集落化している現状にあるので、
これに光を当てて再生の機会とする意味において、香川県と高松市の意見が一致した。

②大イベントに対する住民の意見のヒヤリング。

現代アートというものについて、
直島の住民は、ベネッセコーポレーションの開発、整備や観光客の反応によって
すでに生活の中に溶け込み、理解されているとこだが、
その他の島は、普段鍵もかけないで平和だったところへ、
他所から見知らぬ人が大勢押し掛けてくることに対する不安と
現代アートという全く不気味なものに対する警戒感で、
当初はこのイベントの意義を理解してもら得なかったそうで、
何度も地元説明会を繰り返して、ようやく折り合いをつける事が出来たそうだ。

上出議員は「越後妻有トリエンナーレ」を見ているので、
今回、各島の展示場所やインフォメーションにたくさんの警備員が配置されていることに
驚いていた。このための予算は「越後妻有」よりも余計な支出であろう。

とにかく、広域にわたるイベントは、各地区ごとに温度差が生まれる所を
どう対処するのかも成功の可否に繋がる重要なポイントである。

③こんごの地域振興策との整合性について

今回のイベントをきっかけとして、男木交流館をはじめとする過疎地のインフラ整備、
女木島などの航路利用促進事業の展開を市単独で推進することが出来た。

今回の展示作品の一部が恒久的に、過疎の島々に残されるので、
作品の管理や観光客への対応などで島民との協働した取り組みが得られ、
一過性のイベントとしてではなく長期的な視野に立った島のにぎわいづくり、
活性化への道が開かれたと思われ、
できうれば、数年おきに2回、3回と同芸術祭が継続することを願っている。

④予算について

総額で、6億5千2百万円を計上。
うち、香川県1億5千1百万円。高松市7千万円。その他の町3千7百万円
福武教育文化振興財団1億円。
ほかはふるさと納税や協賛金、チケット・グッズの販売売上等を財源としている。


以上のような回答を得て、高松市役所を退出し、
夕方までの時間を高松港周辺と女木島の視察に割くことにしました。

 

この建物は、高松シンボルタワー。
ここの1階で、芸術祭に関連するグッズや
芸術祭に合わせて新しくデザインされた名産品、地元の海の幸山の幸など
芸術祭に訪れた人たちへのインフォメーションを一手にまとめてありました。

また、この建物内にあるホールが、このイベントの開催期間に企画された
シンポジウム、ワークショップ、コンサート、関連各市町村のPRイベントの会場になっていて、
イベント参加者の集客を一極化することで、効率的な運営が図られると思いました。

今回、宿泊地を高松市としたが、この芸術祭にやってくる観光客は
作品の鑑賞スケジュールの都合からいえば、
高松市内に宿泊する方が効率的なので、
高松市内のホテルや宿泊施設を利用すると思われ、
その点からすれば、高松市はイベントの経済効果を最大に恩恵を被っていると考えます。

高松市の担当者に問うたところ、
約50億円以上の経済効果が生まれると算出されているそうです。


高松港は四国最大の玄関口なので、いろいろなサインもおしゃれです。


施設をつなげる回廊を空中に設けて、車の出入りや風雨対策に配慮されています。


高松港に展示された芸術作品。ランドマーク的な役割にもなっています。


旧高松港管理事務所は、椿 昇さんが建物外観と内部をプロデュースした作品になっています。


CO2の濃度によって右側の壁に映し出される映像が変化します。


次に13時10分の便で女木島へ、本当にゆっくり進むフェリーで向かいました。


女木島は別名を桃太郎の鬼退治伝説の「鬼ヶ島」とされていますので、
港の入口の堤防には鬼の石像が見張りをしています。



この島も住居がかたまっている集落の場所が限られているので、
作品を見るために行動する範囲は思ったほど広くはありませんでした。
この島での許容時間は約1時間しかありませんでしたが、
急ぎ足で回ったので、それで十分でした。

この建物は「鬼が島おにの館」。今回のインフォメーションセンターでもあります。

港の岸辺に展示された「20世紀回想」という作品。


女木島では一番の見どころが、この「FUKUTAKE HOUSE」
休校中の女木小学校と旧保育所を会場に
内部にいろいろなタイプの現代アート作品が各教室を使って展示されていました。
映像作品が多くありました。

この施設で作品を見ているうちに午後3時が近づき、
慌てて駆け足でフェリー乗り場へ。

なのに、フェリーはのんびりと男木島から入港してきます。
女木島を出てからものんびり進みます。

こっちはJR高松駅から午後4時過ぎのライナーに乗らなければいけないので
やきもきしました。

まあ、無事に列車の時間に間に合い、午後8時には芦原温泉駅に到着しましたけれども、

今回の視察を通じて、島から島への移動にフェリーとか高速艇を使ってみると、
穏やかな瀬戸内の海はまさに、生活の場であり、道路なんだと思いました。
「里海」という表現を地元ん人は使っていましたが、その通りだと思いました。

視察のまとめを記します。

このイベントは「現代アート」というソフトツールを活用したインフラ整備でもあると思います。

そして、「海」がいかに住民の生活の身近になものかということを再確認させてくれます。

それは過疎化に対する政治的な対策イベントであるということが分かりました。

以上で「瀬戸内国際芸術祭」も視察レポートを終わります。

2010年9月6日月曜日

「瀬戸内国際芸術祭」を視察(男木島)

直島を高速艇で午後3時15分に発って、約20分。




男木島は小さな島で、
港のある一帯の斜面に人家がへばりつくように建っています。

この写真に写っている部分だけが住居ゾーンです。


男木島港に到着したら、直ぐに入りたくなる建物があります。
インフォメーションセンターの役割を果たす、
ジャウメ・プレンサの「男木島の魂」と題した作品。
屋根には日本語、アラビア語、ヘブライ語、中国語などをデザインして組み合わせ
光がたっぷり入る半透明な空間を作っています。
今回のために建てられ、これから以後も「交流館」として使用されるそうです。
いわば、イベントによってインフラ整備されたということですね。


男木島で最初に見た作品は、海辺にある旧公民館の室内を使った巨大な心象風景画。
鏡を用いて、空間を広く見せています。

現代アートに鏡は必須アイテムですね。虚と実を視覚的に行ったり来たり出来ますから。



次の作品は全て、斜面で坂になっている細い路地を通ってたどり着く民家にあります。



冠木門のある家なので、、この島では比較的格の高い家でしょうか。
この家には「想い出玉が集まる家」という作品が展示されています。

島人たちが想い出があって捨てられない新聞雑誌、手紙などの類を持ち寄って
これを玉に丸めてデコレイトし、インスタレーションされています。


 
路地のいたるところに壁財を彩ったペイントがあり、
散策にアクセントをつけています。


斜面を利用して家を建てているので、その土台には石垣が組まれていまして、
これが、この島の風土的景観の基礎を形成しています。
剥がれている壁板を見たら、それは船板を使ったものでした。


これは、屋内に島の竹で作ったサウンドオブジェ。



この展示は、性と死をテーマとしているようで、
今回見た中ではもっともシュールでした。好みが分かれそうです。



作品を展示している家には、入り口にこんなサインが。

ここは、残念なことに閉館していて見れませんでしたが、
「漆の家プロジェクト」という作品です。



この島の人口は何百人といった程度でしょうか。
歩き回って見かけた島民の方々は皆さん高齢でいらっしゃいました。

当然、廃屋や、取り壊された更地となったところもあります。

これは、その更地に置かれたサウンドオブジェ。


坂道で路地が細いので、物を運ぶときに「乳母車」(オンバ)を使うそうで、
それに目をつけて、アート作品に仕立てる工房が設けられていました。


アート作品散策の途中で見かけた井戸。
急な斜面での生活に、水はどうするんだろうとおもっていたところで、
この井戸に出くわしました。きっと、深いんでしょうね。



高松港へ向かって出発するする時間が午後5時ちょうど。
その次の便だと午後8時が最終です。
なので、男木島では作品鑑賞の時間が1時間強しかなく、
一気呵成に歩き回りました。
そのおかげで帰りのフェリーの中ではぐったりでした。

因みに、男木島を出航したフェリーは約20分ほどで女木島港へ立ち寄り、
そこから高松港まで約20分ほどかかりました。